小児歯科Q&A

Q. 3歳半になりましたが指しゃぶりがやめられません。上の前歯が前の方へ出てきたようで、歯並びが心配です。大丈夫ですか。

A. 前歯が突出(上顎前突)や上下の前歯にすき間ができたり(開口)、上顎の幅が狭くなったり(歯列狭窄)します。できれば永久歯が生え始める前にやめさせたいものです。

しかし無理にやめさせようとすると他の癖に移行することもあるので、子供が興味を持って楽しめるような遊びに誘ったり、おしゃべりしたり親子の触れ合いの機会を増やすことで、自然に指しゃぶりの頻度は少なくなっていくでしょう。

Q.  2歳を過ぎてもおしゃぶりを離せません。このまま使っても良いのでしょうか。

A. 前歯が生えそろう2〜3歳には、口の働きも「吸う、しゃぶる」から「かむ」ことに変わり、おしゃぶりもそろそろ卒業したいものです。言葉が出始め、周囲に人達とおしゃべりでコミュニケーションをはかろうとしていく時期に、おしゃぶりで口をふさいでおくことは、子供の発達上望ましいものではありません。おしゃぶり卒業パーティー等計画してみてはどうでしょう。

Q. 4歳になります。鼻も詰まってないのにいつも口をポカンと開けているのですが、放っておいてよいのでしょうか。

A. 口がいつも開いている(口唇の閉鎖不全)は、アレルギーや鼻炎などで鼻呼吸ができないため口で呼吸していたり癖になっていたり、かみ合わせや口の周囲の筋力が弱く、閉じにくい場合もあります。口呼吸との関連で口や咽頭部の粘膜の乾燥や気道乾燥が生じやすくなります。積極的に口を使って吸ったり吹いたりする遊び(ラッパ、シャボン玉、ハーモニカなど)に誘って口を閉じる力をつけるとよいです。

Q. 2歳6か月です。上唇小帯が前歯まで伸びていて歯磨きがしにくくて困っています。どうしたらよいですか。

A. 特に障害がなければ、永久歯の交換時期まで経過観察をします。しかし歯磨きで小帯を傷つける、歯磨できないなどの障害がある場合は手術の適応となることもあります。上唇小帯が特に太く肥厚していたり長すぎると、歯の萌出の遅れ、歯並びの異常、かみ合わせの不正の原因になることもあります。

Q. どうしたら歯磨きの習慣がつくのでしょうか。

A. 家族が子供の前で楽しそうに歯磨きをしているところを見せることです。はじめは、口の中に歯ブラシをいれることに慣れてもらい、自然と歯ブラシを持ちたがるようにしましょう。「お口がきれいになって気持ちがいいね」と声をかけてみたりしましょう。

Q. 食べ物を口にためてなかなか飲み込めないようですが、心配ないでしょうか。

A. だらだら食べや遊び食べがあると食べることに集中できずに、噛んだり飲みこんだりすることが出来ない場合があります。子供がどんな物を飲み込みにくく感じているか、または、飲み込まずに口にため込んでいるのかを観察することも必要です。

いつも鼻が詰まっていたりすると口で呼吸をするようになり、口を閉めて食べたり飲みこんだりすることが難しくなります。また、舌を突き出す癖(異常嚥下癖)があると飲みにくい状態を生むため、正しい飲み込み方を練習することも必要になります。

Q. 好きなものしか食べないので心配です。どうしたらよいでしょう。

A. 1度や2度食べなかったからとあきらめず、他の食材と料理したり、味付けを工夫するなどして何回も食べさせてみることも必要です。

たっぷり遊ばせてお腹を空かせたあといつもはあまり食べないものでも食べられた、ということもあります。何でも美味しく、楽しく食べる習慣を身につけるには、お腹を空かせることも必要です。

Q. 4歳児ですが、朝食を取らないことが多いので心配です。毎日、朝食を取らせるにはどうしたらよいですか。

A. まずは睡眠時間を十分に確保し、早寝早起きが出来るように生活を整えてあげることが大切でしょう。寝る前に飲んだり食べたりしていると、起きた時も空腹感を覚えず朝食を取れないということもありますので、夕食後の飲食は控えたいものです。

Q. 3歳児ですが、他の子供たちと比べると、前歯の表面が茶色くなっているようにみえます。特に歯ぐきに近いところが濃くなっています。むし歯でしょうか。

A. 乳歯は永久歯より白いので着色があるとかなり目立ちます。乳歯の着色はさまざまですが、ほとんどの場合が食品などに由来する色素沈着です。代表として、茶渋があげられます。茶渋による着色は歯磨き剤による歯磨きで防げます。低年齢の子供は歯磨き剤を用いると飲みこんでしまう可能性があるためあまりすすめません。したがって、低年齢児では色素が沈着しやすく、麦茶、紅茶、ウーロン茶などを好んで飲んでいる場合は特に、目立ちます。このような色素沈着は歯科医師、歯科衛生士による専門的な歯面清掃で除去できるので心配ありません。

Q. 5歳児です。奥歯の溝で黒くなっているところがあります。むし歯でしょうか。

A. むし歯の最初の兆候としては、歯の表面が白く濁ったり、奥歯の溝が黒くなったりすると言われています。乳歯の溝はもともと物がたまりやすく、いろいろな細菌が定着しています。

細菌が原因で黒くなることも少なくはありません。共存する細菌の種類によっては色素の沈着とエナメル質の脱灰が同時に起こる事もあります。奥歯の溝が黒くなっていればむし歯を疑いますが、むし歯になっていないことも少なくありません。

Q. フッ化物歯面塗布は、何歳からしてもらうとよいですか。

A. 歯が生え始めてから年に2〜4回、適量を塗布してもらうとよいでしょう。

歯生えてから2〜3年は歯はまだ軟らかく唾液中のカルシウムなどが歯面に沈着して石灰化されます。したがって、この時期にフッ化物歯面塗布を行うと歯質強化の効果が高いのです。フッ化物歯面塗布後は、うがいや飲食は控えてください。

Q. 歯科医院で買ったフッ化物配合歯磨き剤はどのように使用するのでしょうか。

A. 水で十分に歯磨きをした後よく口をすすぎます。フッ化物配合歯磨き剤を歯ブラシの毛先にとり、歯面に十分作用させるため、塗りこむように磨きます。その後、唾液を吐き出し、30分間は飲食を控えましょう。寝る前に行うとようです。

歯磨き剤の量は子供の指1本半分程度がいいです。

Q. 砂糖はなぜむし歯をつくりやすいのですか。

A. 乳歯は生えてむし歯菌(ミュータンスレンサ球菌)が定着し始めると、砂糖を取ることでむし歯が出来やすくなります。プラーク内のむし歯菌は飲食物中の糖分を分解して酸をつくり、歯の表面からカルシウムやリンを溶出させていきます。これが頻回に繰り返されることによって歯は崩壊し、むし歯が発生することになります。

Q. 子供のむし歯は親から移るのでしょうか。

A. 生まれたての赤ちゃんの口の中にむし歯菌はいません。一般に子供の常在菌は周囲から伝播されるものですが、特にむし歯菌は母親の口の中から伝播されるものと考えられています。もっとも食事の世話をする人からむし歯菌は伝播されるのです。しかしむし歯菌がいるだけではむし歯にはなりません。むし歯菌が定着するには砂糖の存在が必要になります。

Q. かみ合わせが反対になっています。このままで良いのでしょうか。

A. 奥歯のかみ合わせが出来る3歳ごろに自然に治ってしまう場合もあります。

しかし4歳を過ぎても反対咬合が治らない場合は、その後の顎の成長や食べ方、話し方を学習する過程を考慮すると乳歯列期に対応しておいたほうが良い場合もあります。

Q. 前歯の歯並びにすき間があって気になります。放っておいてよいですか。

A. 乳歯列期の歯並びにすき間があることは異常ではありません。

永久歯は乳歯よりも大きいので歯が生え換わるときにはスペースを確保するために顎の骨が大きくなったり永久歯の前歯が前方に傾斜して歯の並ぶ場所が大きくなったりします。乳歯の歯並びにみられるすき間は、その下の永久歯、特に前歯が生えてくるときに場所を提供する大事な役割をはたしています。